土留部材引抜同時充填工法は登録されています
- 東京都建設局新技術登録に当工法が選定 登録番号:1101014
- 宮崎県の新技術・新工法に登録
- 東京都港湾局新材料・新工法情報提供について当工法が選定 登録番号:22006
- 中四国農政局 新技術・新工法概要 H19年度 No.5に記載
- NETIS 登録掲載時番号 No.SK-080012-VR
概要
- 本技術は、土留部材(鋼矢板・シートパイル、H鋼、既設杭)の引抜き時に発生する地盤の沈下(近接構造物等への悪影響)を抑制する工法であり、従来は薬液注入等による地盤改良で対応していた。本技術活用により施工性、経済性の向上及び工程の短縮が期待できる。
- ①何について何をする技術なのか?
仮設土留部材(鋼矢板・シートパイル、H鋼、既設杭)の引抜き時の地盤沈下(近接構造物等への悪影響)抑制工法 - ②従来はどのような技術で対応していたのか?
薬液注入工法(単相式・複相式)
CB後追い(セメントベントナイト)注入対策
砂の水締め対策、部材存置など・・・ - ③公共工事のどこに適用できるのか?
山留工事・基礎工事・道路工事・水道工事・河川工事・海岸工事・護岸工事等における仮設土留部材の引抜き工事 - ④充填管には2種類のタイプがある。
充填管削孔建込型(YT-3) 既設土留材や引抜き時の切断施工に対応
充填管事前取付型(YT-1) 狭隘な現場や硬質土(玉石等)などの現場条件に有効
技術のアピールポイント
- 土留部材回収再利用(リユース)は、生産エネルギー節約、CO2削減など地球規模の環境保全に寄与!
新規性及び期待される効果
- ①どこに新規性があるのか?(従来技術(薬液注入工法の場合)と比較して何を改善したのか?)
地盤変位の抑制が図られる地盤となるまで、引抜前に薬液注入により地盤改良していたものを地盤改良を行わず、引抜きに伴う空隙へ引抜きと同時に固化剤を充填して地盤変位を抑制する工法とした。
充填管は充填作業が完了するまで、土留部材の引抜き後も地中に残している状態にしており、必要に応じた追加充填を可能にした
※鋼矢板6枚以上も可能 - ②期待される効果は?
地盤改良の必要が無くなることから、従来必要であった注入管の設置、注入作業等と比較して少ない充填管の設置、引抜き同時充填作業となるため、安全性・経済性・工程の向上が図れる
適用条件
- ①自然条件
大雨、強風、雷、雪等でクレーン作業に支障をきたすような場合には、作業を中止するなどの適切な処置が必要 - ②現場条件
建込・充填管設備として15~20㎡(車載プラント可)の面積が必要 - ③技術提供可能地域
技術提供地域については制限なし
適用範囲
- ①適用可能な範囲
土留部材の打設、引抜機械が施工可能な場所 - ②特に効果の高い適用範囲
薬液注入による地盤改良が困難な場所
土留部材の存置が認められない条件下における場所、軟弱地盤地域
留意事項
- ①設計時
透水性が極めて高い地質(明確に地下水の早い動きが判定できる地質)では充填材の逸走・逸散・迷走懸念がある - ②施工時
土質特性、土留部材特性(継ぎ、長尺、型式)及び補助工法特性により、引抜き部材への付着土砂量に多い、少ないがあるためその事象で、発生する空隙が計画標準充填量と整合しない場合があり、充填量の増減措置がいる。鋼矢板等の引抜き時の付着土砂量に関し、特に多い場合は充填量の追加充填を素早くとることが肝心(充填不足の継続回避)、充填量の清算は流量計記録と材料の空袋数から算定は容易
従来対策との比較 (鋼矢板の存置の場合)
項 目 | 当工法 | 埋没放置 |
---|---|---|
コスト | 数量やリース期間によって異なるが、回収すると埋設放置に比べ10%~40%のコスト削減が可能。 | 購入した金額100% |
経済活性化 | 回収することにより引抜作業、同時充填作業、運搬作業などが発生し雇用促進につながる。 | 鉄鉱石の収集作業、運搬作業、加工作業などの促進につながるが限りある資源は減少する。 |
温室効果ガス | 埋設放置によって、将来的に発生する温室効果ガスを90%削減できる。排出量約10t | 埋設放置によって消費した鋼矢板を補充するために、同数量を精製した場合で算出。排出量約100t |
リユース | 回収した鋼矢板を再利用できる。(土留機能がなくなった場合でも形鋼によって再利用することが出来る) | 埋設放置するため再利用できない。 |
資源 | 資源の減少を防ぐことが出来る。 | 資源の減少を防ぐことが出来ない。 |
影響
同時充填工 施工状況
鋼矢板引抜時の周辺地盤の沈下状況
シートパイル=5型
★土質は砂地盤が多く、引抜き時に沈下対策をせず引抜いた施工(5分で瞬時に沈下をおこした)
よくある質問
- これまでにもCB注入(セメントベントナイト注入)など、鋼矢板引抜き時の対策はあったと思うが、どこが違うのか?
- CB注入は、鋼矢板を引抜いた後を追いかけて、発生した空隙にセメントベント ナイトを充填注入します。しかし、これでは特に緩い砂地盤などでは、引抜き直後に 空隙が崩壊し、沈下が始まります。こうした状態に一旦なると沈下が収束するのに数ヶ月かかることもあり、周辺地盤に大きな影響を与え続けます。これに対して山伸の工法は、引抜きと同時に、しかも充填材は空隙の中ですぐにゲル化して、空隙の崩壊を防ぎます。(フラッシュアニメを見てください)これまでの方法「引抜き後同日注入」に対して山伸の工法は「引抜同時充填工法」です。
- 注入量をどのように現場毎に定めるか。
- 現時点では油圧式杭圧入引抜機(パイラー)引抜が約4倍、バイブロ引き抜きは約3倍を標準充填量としています。
また、付近の構造物や埋設物の位置関係によって、影響範囲を検討し充填注入高さの設定も行う。 - 充填したら沈下は無いのか。これまでの実績データはあるのか。
- レベル計測、孔内傾斜計計測を行ったが
レベル計測=沈下量±0
孔内傾斜計=変位量2mm
の実績があり、その他の現場でも設計許容範囲内で留まっています。